Sword and Magic

確率とは(ドラクエで考える)


一般的に確率とは

ドラクエで考える前に、確率というものを、私がどういう定義をしているのかを先に語ろう。

まず確率とは、「とある条件のもとで、その特定の条件が発生する度合いを数値化したのもの」だ。
最大値は 1 or 100%、最小値は 0 or 0%(分数表記もある)。この値が最大値だと必ず発生し、
最小値だと必ず発生しないことを表す。また、「とある条件のもと」と「特定の条件」は別物である。
よって、ふたつの条件をまず述べていないと、確率はわからないのだ(条件が3つ以上ある場合もあるが、例外とする)。

まだまだいろいろと足りないものがあるが、ひとまずはこれを覚えておきたい。すべての確率の基本である。
基本をわかっていないと、応用も、もちろんわからない。

確率とは(ドラクエで考える)その1

本題へ。ドラクエの確率でよく話題に上がるのが、「モンスターが宝箱を落とす確率(II〜VII)」
「モンスターが仲間になる確率(V・SFC版VI)」だろう。このふたつは共通点があり、
「戦闘後にひとつだけ抽選がある」点だ。これは非常にわかりやすい。

なぜか? たとえば、倒したモンスターの数などで「モンスターが宝箱を落とす確率」や「モンスターが仲間になる確率」
が上下していたら、もっと複雑でわかりにくいことは間違いないだろう。是非はともかくとして。

なお、「モンスターが宝箱を落とす確率(II〜VII)」としたのは、VIII以降は「戦闘後にひとつだけ抽選がある」
ではなく、複数の抽選の可能性があるため、ここでは語らない(複雑化するので)。

さらに、このふたつの確率は、同時に起こることもある。つまり、モンスターが宝箱を落としたあと、
加えてモンスターが仲間になることもあるのだ。ふたつは似ているが、独立して干渉はしない。この点もわかりやすい。

いちおう「モンスターが宝箱を落とす確率」のVIII以降のシステムを記載しておく。

VIIIは、モンスターの種類それぞれにモンスターが宝箱を落とすかどうかが判定される(倒した順番は関係ない)
IX・X・XIは、1体1体モンスターが宝箱を落とすかどうかが判定される(倒した順番は関係ない)

確率と抽選

さて、先ほど「抽選がある」という表現をしたのは、この言葉のほうがわかりやすいと思っただけである。

例:モンスターを全滅させたあなた、抽選のくじ引きが必ず引けますよ。さあさあ、この箱の中にひとつだけ
抽選の当たりがあり、当たりが出ると『モンスターが仲間になる』(『モンスターが宝箱を落とす』でもよい)が必ず
発生します。しかし、この抽選の当たりを当てないと、絶対に発生しません。そして、当たった場合でも外れた場合でも、
すべからく抽選のくじを戻してもらいます。いいですね?

注目ポイントとしては、「当たった場合でも外れた場合でも、すべからく抽選のくじを戻す」ということだ。
「戻す戻さないが、そんなに重要なの? どっちでもいいんじゃない?」と思った人はいませんか?
じつは、これが大問題なのです!!

たとえば、V・SFC版VIでの「スライム」の1匹目が仲間になる確率は 1/2 である。もし「抽選のくじを戻さない」場合、
1回目の抽選で外れたなら、次は「スライム」の1匹目が仲間になる確率は、100%になってしまう。
箱の中には、もう当たりのくじしか入っていないのだから(確率は 1/2 なので、もともと箱の中には、
抽選のくじはふたつしかない。そう。片方が外れたなら、2回目は当たりくじしか箱の中にはない)。

しかし、実際にはそうなっていない。どんなに倒しても、「スライム」の1匹目が仲間になる確率は 1/2 である。
つまり、2回目の抽選も外れる可能性はあるのだ。

結論。どんなに倒しても当たる確率は上がらない。
したがって、当たるまで抽選回数、言い換えれば戦闘回数を増やすしかない。

以上をことを踏まえると、1/64 の確率なら、戦闘回数(抽選回数)が64回あれば必ず当たるというわけではないし、
1/256 の確率なら、戦闘回数(抽選回数)が256回あれば当たるというわけでもない。

確率とは(ドラクエで考える)その2

どれくらいの戦闘回数なら、どれくらいの割合(人数)が当たりが出ることが期待できるのか?
それなら計算で求めることができるぞ。

まず、「とある条件のもとで、その特定の条件が発生する度合いを数値化したのもの」のうちの、
「とある条件のもと」と「特定の条件」を述べておこう。このふたつの条件を述べないと、確率は求めることはできない。

「とある条件のもと」は、「モンスターが宝箱を落とす確率」なら「最後に倒したモンスター」で、
「モンスターが仲間になる確率」なら「戦闘で仲間になるモンスターを2種類以上倒して、
あとに倒したほうの種類のモンスター」である。じつはこのほかにも細かい条件があるが、ここでは割愛する
(本題からそれてしまうため。細かい条件は専用のページへ)。

「特定の条件」は、「モンスターが宝箱を落とす」や「モンスターが仲間になる」のことである。
このふたつの条件は別々であるが、お互いに密接な関係を持っていることがわかるだろう。

「とある条件のもと」と「特定の条件」をドラクエに置き換えてみよう。すると、

「最後に倒したモンスターが宝箱を落とす確率」となる。

また、

「戦闘で仲間になるモンスターを2種類以上倒して、あとに倒したほうの種類のモンスターが仲間になる確率」でもある。

これだけのために、こんな長い説明をしたのか? と、思うかもしれない。しかし、これが必要なことなのだ。
一般的な確率の定義とドラクエにおける確率は相違ないことわかり、もっと理解が深まるはず
(抽選のくじを戻すことが一般的ではないけど、いいじゃん! 逆に言えば、先に例外を知って確率に強くなれるよ)。

戦闘回数と確率とその意味

ここからは、本格的にその目的となる確率を求めてみよう。
前提として、まず目的のモンスターの出現率は考慮しないものとする(複雑化するうえ、諸説あるので)。
つまり、目的のモンスターに出会ったときに倒した場合に発生する確率として計算する。

その戦闘回数で1回以上当たりが出る確率 = 確率の最大値-(確率の最大値-当たる確率)×戦闘回数と同じ数だけ乗算(×)

たとえば、戦闘回数2回なら 2×2 だけど、戦闘回数3回なら 3×3×3、戦闘回数4回なら 4×4×4×4 になるという意味。

(確率の最大値-当たる確率) は、(外れる確率) と同じである。

また、この式を数学的に表記すると、A=当たる確率、B=試行回数、であるならば、

その試行回数で1回以上当たりが出る確率 = 1-(1-A)^B

となる。^B は (1-A) の計算結果を ^B の値のぶんだけ掛け算するという意味である。
この式を見て、「え? そうなの?」と思った人もいるかもしれない。ただ、いまは「こういうもの」として覚えよう。
疑問が浮かんだら、ぜひ自分のチカラでこの式が合っているか確認してほしい(このページではやらないよ。ごめんね)。

以下の複数の例は、「V」のことを想定している(キラーマシンの1匹目が仲間になる確率 1/256)。

キラーマシンが仲間になる可能性のある戦闘回数を128回おこなった場合に1匹目のキラーマシンが仲間にできる確率は、
1-{1-(1/256)}^128 の式で求めることができる。これを計算していくと、約39.41%(小数点第三位を四捨五入)
となる。その確率の意味は、128回戦闘すれば、3割9分ほどの人がキラーマシンを仲間にできると解釈できる。
逆に言えば、128回戦闘しても、6割1分ほどの人がキラーマシンを仲間にできないとも解釈できる。

最初なので、いちおう計算の過程も記載しておこう(数字の羅列を見ると気分が悪くなる人は飛ばしてね)。

1-{1-(1/256)}^128 = 1-{255/256}^128 = 1-0.60593708822908031706467932710089 = 0.39406291177091968293532067289911 ≒ 39.41%(小数点第三位を四捨五入)

キラーマシンが仲間になる可能性のある戦闘回数を256回おこなった場合に1匹目のキラーマシンが仲間にできる確率は、
1-{1-(1/256)}^256 の式で求めることができる。これを計算していくと、約63.28%(小数点第三位を四捨五入)
となる。その確率の意味は、256回戦闘すれば、6割3分ほどの人がキラーマシンを仲間にできると解釈できる。
逆に言えば、256回戦闘しても、3割7分ほどの人がキラーマシンを仲間にできないとも解釈できる。

ふたつの例を見ると、戦闘回数を2倍にすると、仲間にできる確率は約1.6倍になった。
さらに、最初の戦闘回数128回を3倍するとどうなるか? それを見てみよう。

キラーマシンが仲間になる可能性のある戦闘回数を384回おこなった場合に1匹目のキラーマシンが仲間にできる確率は、
1-{1-(1/256)}^384 の式で求めることができる。これを計算していくと、約77.75%(小数点第三位を四捨五入)
となる。その確率の意味は、384回戦闘すれば、7割7分ほどの人がキラーマシンを仲間にできると解釈できる。
逆に言えば、384回戦闘しても、2割2分ほどの人がキラーマシンを仲間にできないとも解釈できる。

最初の戦闘回数128回を3倍すると、最初に比べて仲間にできる確率は約2.0倍にとどまっている。それもそのはず。
確率の最大値は 1(100%)なのだから、それに近づけば近づくほど鈍化することが当たり前といえよう。

ここまで戦闘回数や仲間にできる確率(キラーマシンの1/256)など、いろいろと語りつつ計算して、
具体的なものを示してきた。そして、揺らぐことのない、ひとつの結論に至ったのだ。それを、いまここに明かそう。

確率とは、「試行回数が無限大(∞)になったとき、その状況が発生する度合いを数値化したもの」とも定義できる。

たとえば、キラーマシンの仲間になる確率とは、
「戦闘回数が無限大(∞)になったとき、仲間になる度合いを数値化したものが 1/256」である。

とてつもなく大雑把な話だけど、戦闘回数が無限大だとすると、キラーマシンは平均で256回ごとに仲間になるのだ。
「無限大の戦闘回数を平均!? どうやって!?」ということは置いて、そう考えることができるだろう、ということ。

こほん。このことを知れば、たとえキラーマシンを999匹倒したのに仲間にならなかったとしても、
ちょっとは許す気になっちゃうかも!?

その戦闘回数で1回以上は当たりが出る確率のまとめ

以下の表がまとめである。「その戦闘回数で1回以上は当たりが出る確率」の数値は、小数点第三位を四捨五入する
(%)。また計算結果の確率では、100%はないものとする。さらに以降、同じ値が続くときは「−」で省略とする。

なお、この表は「モンスターが宝箱を落とす確率(II〜VII)」や「モンスターが仲間になる確率(V・SFC版VI)」
で活用できる。左の「当たりの確率」を照らし合わせて、「運がよかった」「運が悪かった」「運はほどほどだった」など
感じてみてほしい。

ちなみに、左の「当たりの確率」に「1/512」がないのは意図的である。
ドラクエに使われていないのだから必要ないよね? ってこと!

当たり
の確率
その戦闘回数で1回以上は当たりが出る確率(%)
248163264128256512102420484096
1/275.0093.7599.6199.99
1/443.7568.3689.9999.0099.99
1/823.4441.3865.6488.1998.6199.99
1/1612.1122.7540.3364.3987.3298.3999.9799.99
1/326.1511.9322.4339.8363.7986.8998.2899.9799.99
1/643.106.1111.8422.2739.5963.5086.6898.2399.9799.99
1/1281.563.096.0811.7922.2039.4763.3686.5798.2099.9799.99
1/2560.781.553.086.0711.7722.1639.4163.2886.5298.1899.9799.99
1/10240.200.390.781.553.086.0611.7622.1339.3663.2386.4898.17
1/20480.100.200.390.781.553.086.0611.7522.1239.3563.2286.47
1/40960.050.100.200.390.781.553.086.0611.7522.1239.3563.22

追加の表。10進数で切りのいい数字の戦闘回数でもまとめたので、よかったら参考にどうぞ。

当たり
の確率
その戦闘回数で1回以上は当たりが出る確率(%)
50100150200250300350400450500550600
1/299.99
1/499.99
1/899.8799.99
1/1696.0399.8499.99
1/3279.5695.8299.1599.8399.99
1/6454.5079.3090.5895.7198.0599.1199.6099.8299.9299.9699.9899.99
1/12832.4454.3669.1679.1785.9390.4993.5895.6697.0798.0298.6699.10
1/25617.7732.3944.4154.2962.4169.0974.5979.1082.8285.8788.3890.45
1/10244.779.3113.6317.7521.6725.4128.9632.3535.5738.6541.5744.36
1/20482.414.777.069.3111.4913.6315.7117.7519.7321.6723.5625.40
1/40961.212.413.604.775.927.068.199.3110.4111.4912.5713.63

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